デカール加工というものがどういうものなのかここでご紹介してみようと思います。意外と知られていない製作行程を隠すとこなくご覧いただこうというものです。業(わざ)も盗んじゃってくださいな、と大盤振る舞いです。最近ではデカール加工価格据え置きなんてのをやっていますが、これが本当にモデラー泣かせなんです。これを見てもらえば納得?そんなことはさておき、今回の製作事例は ミニチャンプス 1/43 マクラーレン MP4/8 です。マクラーレン MP4 シリーズは幾度も加工する代表的な作例です。
とくとご覧ください。製作は牟田が行いました。


まずはミニカーの状態をチェクします。どこにデカールを貼るのか、その為の下処理はどうすのかということですね。本来はデカールと見比べながら確認することが大切ですが、何度も製作しているモデルなのでそこは時間短縮のため省きました。

確認が終了したら下処理の開始です。もともと貼ってある不必要なデカールを剥がしていきます。剥がすロゴと剥がさないロゴがまとまって一枚のデカールとして貼り付けてあることが多いので、剥がす部分だけをデザインナイフでカットします。

デカールをどうやって剥がすのかというと、
その1、デザインナイフを滑りこませる。
その2、セロハンテープで剥がす。
その3、除光液を使用する。
まずはデザインナイフを滑り込ませてみました。うまくいく時はきれいにめくれますが今回は…

うまく滑り込まなかったのでセロハンテープを使いました。セロハンテープでもダメな時は除光液を使いましょう。
この画像サイズではちょっと分かりにくですね。大きな画像をリンクしています。

セロハンテープで剥がすとこんな具合です。ここで気をつけないといけないことは、はがす必要の無い部分に知らず知らずのうちにテープをくっつけていたりすることがありますからね。そうなると厄介ですよ。お恥ずかしい話ながら、私も何度か経験があります。

ノーズの部分の『McLaren』ロゴはデザインナイフで無事に処理できました。
今回のモデルでの本体下処理はこれで完了です。


本体の下処理が終了したら、次はデカールの下処理です。事前にカットする必要があるところを処理します。
今回は4/8対応がなかったので別のデカールを使います。

今回の加工には使わないですが、ジャンクとして役に立ちそうなものは事前に切り抜いて保管しておきましょう。ちなみにこのデカールの場合だと、『Powerd by HONDA』を保管しました。

次にデカールのカット処理です。慣れる迄はデカールとミニカーをよく見比べてどこをどう処理したら考えましょう。ちなみに、今回の場合は、リアウィング正面ロゴとスーツの両腕のマルボロロゴをカットしました。デカールの下処理は完了です。

デカールを水にひたして貼り付け作業開始です。水につけたあと、いったんデカール軟化剤を塗っておきます。軟化剤はデカール加工において必需品です。三種の神器の1つですよ。

貼り付ける前にデカールの裏面にも軟化剤を塗っておきます。こうすることでより密着しやすくなり、また、はがれにくくもなります。

この時に必要なのが、ピンセット。出ました、三種の神器の2つめ。
ピンセットは自分に適したものをみつけましょう。できれば精密ピンセットをおすすめします。

実は、この貼る順番も大切なポイントです。何故かというと時間短縮には欠かせない要素なのです。これが前後すると製作時間が無意味に増えていくばっかりですから。

貼る順番を考えながらバランスよく貼っていきます。大切なポイントは、水平、垂直、平行、対称、を心がけます。
この部分は水平、対象を確認します。

モノコック左右部分の小さなマルボロを貼ります。ここでは、水平、垂直、平行、対称、全てに気を配ります。

左右に貼るので対称は特に確認します。

メインのマルボロロゴを貼ります。右上部にはキルマークや、フューエルマークがありますので、こちら側から先に貼ります。その後左側を右に合わせる流れで貼っていきます。

もちろんここでも水平、垂直、平行、対称、全てに気を配ります。

確認できるすべての方位からチェックします。
真剣なまなざしが自分とは思えないんですけどね(笑)

全てのデカールを貼り終えたら、最後の行程です。全ての水気を拭き取っていきます。ここで最後の三種の神器綿棒の登場です。慣れないうちは一カ所ずつ貼って拭き取るようにしたほうがいいでしょう。

この綿棒にも僕なりのこだわりがあるんです。綿の部分が平になっているものがいいですよ。(これは紹介してもらったんですけど)形状がわかってもらるかな?

いよいよ仕上げです。もとの台座へもどしましょう。ドライバー違いなど複数台を一緒に加工した時は台座を間違えないように。二度手間ですからね。

ついに出来上がりです。これがお客様の手元へ届きます。

どうでしょうか、満足げな表情ですね。一仕事終えた男の顔です。

デカール加工の流れは分かっていただけましたでしょうか?かなり大切な情報も公開しちゃいましたよ。ご自身で製作される場合、初心者の方は1つ1つの作業をゆっくり確実に進めることが成功の鍵です。デカールも一度に全てを水に浸すのではなく、貼る部分だけを切っては水につけていく方がいいでしょう。三種の神器は全てそろえてください。他はご自宅であるもの、家庭用はさみやカッターナイフでも問題ありませんから。専用のものは小回りが効く程度の差です。

今回のモデルは簡単なモデルの1つです。モノによってはもっと手間のかかるものがあります。でも、基本的な流れは全て同じです。

さぁ、あなたもやってみたくなったのではないでしょうか?肩肘はらずにぜひトライしてみてください。新しいミニカーコレクションの世界が開けてきますよ。
当社ウェブショップにもデカール軟化剤や、ピンセットなど掲載しておりますのでぜひご利用ください。ご注文はコチラからどうぞ。

こんな手間のかかることはしたくない、時間もなんだよねと言った方は当社販売のデカール加工品をぜひお求めください。冒頭でも述べたようにモデラー泣かせの加工品価格据え置き商品なんていうとってもお買得な商品もありますよ。


最後までおつきあいいただきましてありがとうございました。
今回のメルマガ制作、編集は牟田が行いました。



デカール加工に関するご質問や、ご要望などは遠慮なく セカンドハンド店の牟田までお申し付けください。TEL : 06-6486-7000  Mail : honten@romu-romu.com