近代F1におけるメルセデスは、ダブルタイトル8連覇を成し遂げたほど常勝軍団の地位を確立した存在である。しかし、1990年代途中からエンジンサプライヤーとしてF1復帰を果たした彼らは勝利とは無縁で、名門マクラーレンと組んでも数年燻り続けた。
そんな状況が一変したのが1997年。マクラーレンが伝統の赤白マールボロカラーを脱ぎ捨てて、メルセデスの代名詞でもあるシルバーアローを彷彿させる新カラーリングを纏い登場したMP4-12が、一躍マクラーレン・メルセデスを選手権争いのダークホースへと押し上げる。この活躍なくして、その後のメルセデス黄金時代はありえず──近代メルセデスF1史、栄光への第一歩を飾る物語。