6人ものF1チャンピオンを輩出した現在では名門チームに数えられているが、70年代後半のウイリアムズはたまに入賞するが、ほとんど中団以降に埋もれる1チームにすぎなかった。そのウイリアムズを常に上位で争うだけでなく、ついにはドライバーズ&コンストラクターズの2冠獲得までの強豪チームに躍進させた原動力がFW07だ。前年、天才コリン・チャップマンが投入したウイングカー、ロータス79がF1界を一変。その速さの秘密、グラウンドエフェクトを理解するしないにかかわらず、多くのチームが模倣に走り、コース上には79クローンが多数登場することに。その中でもウイリアムズはグラウンドエフェクトをただ理解するだけでなく、79シャシーの剛性不足も解析。フランク・ウイリアムズとともに新生ウイリアムズを率いたパトリック・ヘッドを中心に、空力エンジニアのフランク・ダーニー、若きニール・オートレイやロス・ブラウンらが手掛けたFW07はウイングカーの本家79を性能ですぐに上回り、投入5戦目でウイリアムズ初優勝(クレイ・レガッツォーニ)。続いてエース、アラン・ジョーンズが3連勝。FW07Bに進化した翌80年も勢いは衰えず、5勝したジョーンズが初戴冠。新加入のカルロス・ロイテマンも健闘し、初めてコンストラクターズタイトルを奪取する。FW07Cとなった81年はコンストラクターズこそ連覇したが、ドライバーズは失ってしまう。とはいえ、改良を加え4シーズンにわたって上位を走り続けたFW07は、ウイリアムズを名実ともにトップへと押し上げるきっかけとなった名車と言えるだろう