セナが初めてのチャンピオンを決めた思い出深い鈴鹿での最後の走りを再現致しました。
フロント翼端板の後下側がボーテックスジェネレーターにスムーズに空気を流す様に絞りこまれています。エンジンカウルのコブがエンジンのシリンダーヘッドの形状が変更されたため大きくなっています。鈴鹿にしてはダウンフォースの大きめのウイングを装着しています。オンボードカメラは左右に付きます。
Fordのロゴが前半戦と違って白黒反転しています。フロントウイングのフラップに日本GPから「TENCEL」のロゴが追加されています。
ポールのプロスト、となりにはセナ、1990年のスタート直後のアクシデントが思い出されるフロントロー対決でしたが、セナがスタートを決め逃げにかかります。セナは2ストップ。プロストは1ストップ作戦だったため出来るだけ引き離したいところでしたがプロストが離れない。 セナは13周目にピットイン。セナの1〜2秒後方にいたプロストはここで楽に首位に立つ。 このままいけば両チームあと1回ずつのタイヤ交換が必要で、 プロストはピットインで後退したセナとの差を維持しさえすれば勝てるはずでした。
が、しかし、ここで奇跡が起こります。朝から晴天に恵まれていた鈴鹿の空が一転にわかにかき曇り雨が落ち始めます、次第に雨足は強くなっていく。 プロストは慎重にドライブする一方で、セナは得意の雨、水を得た魚のごとく猛然と追い上げてきます。 20周目には2人の差は2秒に縮まり、ヘアピンの立ち上がり、スプーンの手前でセナはプロストをあっという間にかわしました。
セナとプロストはその周にレインタイヤへ交換するために同時ピットインしましたが、順位は変動がないままピットアウト。終盤再び晴れてきてプロストが追い上げますが、雨の中築いたリードを守りきりセナが優勝を飾りました。 決勝でセナは予選よりダウンフォースの大きいウイングを装着していました。朝から晴れで雨などだれも予想出来ない中、セナだけはそれを見越していたかの様なウイングの選択には驚かされます。
セナが雨で速いのは疑いようがないことですが、雨さえも呼び寄せることが出来るのかもしれませんね。
セナがGP日本で優勝したのは初めてのチャンピオンになった1988年と今回製作した1993年だけでした。そしてこれが鈴鹿での最後の走りとなりました。
製作に当たってはスジ彫りは細く深く彫り直しています。ノーズ上面やリヤサス周りなどキットでは再現されていなかったスジ彫りも追加しています。ディフューザーやカウルのエッジは薄く削り込んでいます。インダクションポッドの開口部も深く彫り込んでいます。ミラーはミラー面を一段掘り下げて鏡面を埋め込んでいます。、シートベルトは布製に交換、エアバルブ追加と細部までもディティールアップしています。マルボロレッドはもちろん塗り分け、デカールや塗り分けの段差がないように徹底的に研ぎ出しています。製作は弊社専属モデラー多田 道一です。