TS050ハイブリッドは2016年シーズンから実戦投入されました。 デビューイヤーのルマンでは最終ラップを迎えるホームストレートでスローダウンし、ポルシェに抜かれるという悲劇的な出来事が起こったことも記憶に新しいと思います。
2年連続優勝がかかった2019年のルマン24時間は今年こそ優勝を狙う7号車のポールポジションからスタートしました。昨年優勝した8号車はタイトル争いを優先し、着実なポイント獲得を目指していました。 レースは7号車が先行しますが、日が落ちた頃から8号車とのギャップが縮まり一時的に順位が入れ替わる展開となりました。2日目となりレース終盤に差し掛かると空力面のセットアップで不利だった8号車に対し、7号車はリードを広げることに成功しました。
しかしレース終了1時間前、7号車を悲劇が襲います。ルーティンのピットインを終えた直後にパンクの疑いで再度ピットイン、右フロントタイヤを交換しますが、その後再びスローダウン。8号車にトップの座を奪われてしまいました。
7号車は再度ピットインし全輪を交換、ペースは戻りましたが8号車に追いつくことはできず、2019年も同じ順位でのワンツーフィニッシュとなりました。
今回モデルを開発するにあたり、優勝した8号車を徹底的に取材を行いました。
取材で得た詳細な寸法データ、1000枚を超える写真を元に3Dデータを作製しモデル化しました。
ボディの構成は今まで作ってきたモデルの中で一番複雑な形状を持っており、薄い部分も多いためキャスティングの方法や原型の分割から考え直す必要がありました。リアカウルのシャークフィンはエッチングパーツをインサートキャストすることにより歪みが出来にくい構成になっています。
薄く繊細なリアウィングはアイドロン フォーミュラシリーズで培った半田付けの技術を使い組み立てています。
複雑なカラーリングは塗り分けとデカールを適材適所で使い分けています。このモデルには約120種類、147枚のデカールが張り込まれています。