不整合
セナプロ対決、中嶋悟&鈴木亜久里の活躍、ホンダの快進撃──1990年当時、日本はF1ブームの真っ只中。その中で「主役」ではないものの、異彩を放ちファンの心を掴んだ色がある。『レイトンブルー』と呼ばれた特徴的なカラーをまとったレイトンハウスは、確実にあの時代を象徴する名脇役的存在としてF1グランプリを盛り上げた。マーチを前身とするレイトンハウスは、のちに「空力の鬼才」と呼ばれる若き日のエイドリアナ・ニューウェイが在籍し、非力エンジンながら彼が開発した空力マシンで、時折トップチームを追い立てるレースを見せていた。ただ、90年のレイトンハウスを取り巻く環境はお世辞にもいいとは言えず、内部で問題勃発。そんなチーム状況を反映するかのように90年型CG901は、施設の不備が原因で空力的に神経質なクルマとなってしまい、その責任をとらされチームを追われるニューウェイ。それを機にチームの崩壊が始まっていくが、あまりに根深すぎる問題がその裏にはあった──